前回は、日本人の普通のマクロ栄養素についてみてみました。
今回はさらに具体的にどのような食品を口にしているのかについてを細かく見ていこうと思います。
ぜひ、みなさんも予想しながらみてみてください。
使用するデータについて
今回も前回同様、厚生労働省がおこなった、令和元年国民健康・栄養調査報告をみていこうと思います。
また、使用するデータも令和元年(2019年) 11 月に実施した調査結果を用いていきます。
※この調査は毎年実施されていましたが、ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されていたため、詳細なデータがそろっている最も最近のものを使用しています。
データの抜粋方法について
こちらの調査では、以下の条件でデータを並べ替えてデータをみていきます。
- 食品群別摂取量 – 食品群,年齢階級別,平均値,標準偏差,中央値 – 総数,1歳以上のデータを使用。
- 結果のうち、20歳以上の値を採用。
- 大分類、中分類、小分類の中から小分類の値を採用。
- 小分類のうち、平均値と中央値の両方で並べ替え、順位を決定。
今回は、平均値と中央値の両方を使ってランキングを作成しています。
理由としては、以下の2点です。
- 平均値は、半数以上の人間が摂取しない食品が一部の人により吊り上げられ、正確性に欠ける順位になってしまう。
- 中央値は、摂取している食品の全体的なデータをみることができない可能性がある。
ここではわかりにくいと思いますのでまずは結果をみてみましょう。
日本人が多く取っている食品ベスト10
さて早速結果をみてみましょう。
下のグラフのうち、左側が平均値、右側が中央値における順位です。
グラフ左部の名前が小分類名、()内が順位になります。
そして、数値が1日あたりの摂取量(g)の平均値と中央値になります。
※令和元年国民健康・栄養調査報告から改変
このグラフのいずれも、上位3品名は同じで、米、茶、コーヒー・ココアになります。
1位の米は予想通りの結果だったと思います。
一方で、平均値上位には、茶やコーヒー・ココア、牛乳などの飲料形態のものや、ビールや洋酒などの酒類がランクインしており、やや肩透かしを食らったような結果になっています。
この調査では、摂取量の数値は重量で決定されるので、実体がほぼ水分で、摂取が容易な茶やコーヒーなどの飲料やビールや洋酒などの酒類がランキング上位に多く出てきます。
また、酒類に関しては、日常的に飲む人と全く飲まない人が混在している影響もあり、中央値のランキングをみると一気にいなくなります。
中央値のランキングをみてみると、米、茶、コーヒー・ココアに次いで、卵類、その他の淡色野菜(もやし、レタス、にんにく、しょうが等)、その他の調味料(みりん、ラー油、酢等)、豚肉、たまねぎ、その他の緑黄色野菜(さやえんどう、かぼちゃ、小松菜等)、にんじんとなっています。
こちらはかなり一般的な印象に近い結果になっているように感じます。
やや「その他」が多いですが、幅広い食品を分類しきることができないため、結果として「その他」が膨れ上がったように思います。
主食に関しても、米に次いで多いと考えられたパン類(菓子パンを除く)は平均値で14位となり、うどん・中華麺の11位より下位の結果となりました。
日本の食文化はやはり、米が主流と考えてよさそうですね。
主食飲料以外のトップをみてみると、卵類が両方のランキングに入っています。
卵は栄養面、流通面、コスト面、調理面のいずれも優れた食品で、一般家庭でも当然のように摂取されていることがわかります。
続いて、豚肉が両方のランキングに入っていることがわかります。
豚肉も卵同様、栄養面、流通面、コスト面、調理面が優れ、特に多様な部位があるため、調理の多様性が高まり、豊かな食卓への貢献が大きいと考えられます。
個人的には、鶏肉とどちらが上位なのかが気になっていたのですが、鶏肉は平均値で20位(30.8g)となり、データ上は結構な差があるという結果でした。
※ちなみに牛肉は32位(15.5g)でした。
さて、ということで今回は日本人がもっともよく食べている食品を調べてみました。
次回はここからさらに、実際に摂取している食品とマクロ栄養素の関係について記事を書いていきたいと思います。
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