先日は、マクロ栄養素とミクロ栄養素の概要について説明をしました。
今回はそのマクロ栄養素について説明をしていきたいところですが、その前に。
今回は、日本人の平均的なマクロ栄養素の摂取状況について、データを見ていきたいと思います。
これから栄養に関する話をしていく中で、まずは一般的な日本人の現状を観ていきたいと思います。
使用するデータについて
今回、普通の日本人の食事を観るために、厚生労働省がおこなった、令和元年国民健康・栄養調査報告をみていこうと思います。
この調査は、健康増進法に基づき、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎
資料とするため、厚生労働省がおこなった調査です。
今回はこのデータの令和元年(2019年) 11 月に実施した調査結果を用いていきます。
この調査は毎年実施されていましたが、ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されていたため、詳細なデータがそろっている最も最近のものを使用しています。
データの抜粋方法について
こちらの調査では膨大なデータがあるため、今回は以下の条件でデータを抜粋した結果を示していきます。
- 栄養素等摂取量の男性・女性のそれぞれのデータを使用。
- 結果のうち、20歳以上の各数値を抜粋。
- 「エネルギー」、「たんぱく質」、「脂質」、「炭水化物」の中央値(平均値ではなく中央値)を抜粋。
今回は、平均値ではなく、中央値を使用しています。
今回のようなデータではあれば、どちらでも大きな差はないと思われますが、念のため、極端な例をはじく目的で中央値を採用しています。
マクロ栄養素のバランスについては、
- 炭水化物、タンパク質は1gあたり4kcal
- 脂質は1gあたり9kcal
として算出し、合計のカロリーからそれぞれの栄養素の比率を円グラフとして示します。
日本人の摂取している平均的なマクロ栄養素
では結果をみてみましょう。
下記の表が1日あたりのエネルギー(kcal)とタンパク質(g)、脂質(g)、炭水化物(g)の平均的な(正確には中央値)摂取量になります。
20歳以上男性 | 20歳以上女性 | |
エネルギー(kcal) | 2,098 | 1,684 |
タンパク質(g) | 75.8 | 64.4 |
脂質(g) | 62.7 | 53.5 |
炭水化物(g) | 267.0 | 221.2 |
この数値自体がどういうものであるかどうかは置いておき、まずは素直に数値をみていきたいと思います。
まず、男性と女性を比較すると、体重が多く、活動に必要な栄養量が多い男性のほうがいずれの値も女性より高い値になっています。
また、いずれの性別でも、摂取量は炭水化物>タンパク質>脂質の順に多くなっています。
令和元年国民健康・栄養調査報告より抜粋
この結果は、通常生活している上で違和感のない結果だと思います。
一般的な日本人の食事では、代表的な炭水化物である、米やパン、麺類などの主食と言われるものが必ず入り、タンパク質や脂質にあたる肉や魚、卵などが主食より少し少ない量が入っているため、感覚的にも同じようなバランスになっていると思います。
また、栄養素を語る場合は、三大栄養素から算出されるエネルギー(いわゆるカロリー)の他に、そのバランスが重要と言われます。
そこで一度エネルギー比率に直した結果を示します。
その結果は上記の通りです。
この結果から、カロリーベースの比率に性別による差はほとんどなく、各栄養素の比率は同じまま、男性側の方の摂取量が多いことがわかります。
男性の方が肉が好きであったり、女性の方が脂質が控えめであるなどといった印象は、全体の比率に直すと、実はほとんど差はないという結果です。
少し長くなったので、次回は具体的な食品の情報に焦点をあてて紹介をしていきます。
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